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芸術の神ミューズ [合唱]

本業の仏語をおろそかにして、合唱に明け暮れた大学生活でしたが、なんとか卒業出来、大手楽器メーカーに就職したものの赴任先は富山、そして1年足らずで長野へと配属されました。仕事内容は音楽教室の普及、管理ということで住いは長野市、上田市、小諸市、と転々としましたが最後の小諸市で落ち着き煙たなびく雄大な浅間山の麓の佐久市、軽井沢という観光地での仕事でとても充実した日々を送っていました。この地域の人たちは良い方ばかりで。この地区ではまだ創立間もない合唱団であった、小諸ハーモニーで指揮者をさせていただきました。、長野県代表,合唱コンクール金賞受賞など。トップクラスの実力を持つ合唱団でもあります。またベートーベンの第九のテナーソロも経験し。ウイーンの楽友協会の招待で長野県代表でウイーンに行きウイーンフィルと第九を歌った事などすばらしい思い出、経験をさせていただき、人生でもっとも充実した時だったと思います。しかし後でお話しますが、これが私が愛知の実家に帰るきっかけでした。
このサイトの表題でもある、小諸ハーモニーという合唱団は私の恩師でもある当時小諸高校の音楽の教師だった宮下喜由先生と小諸高校合唱部の卒業生が中心になってはじめた団で、私も創立から所属し、宮下先生にはとてもお世話になりました。まだ若かった私の掛け替えの無い恩師で恋愛、音楽談義で一晩中お話したり独身だった私を家に泊めていただいたりしました。この合唱団は当初はお世辞でも上手とはいえない(当時の団員の方観てたらごめんなさい)合唱団でした。コンクールに出場はするものの、賞とはかけはなれ銅賞がいいとこでした。でも家族的で温かみがあり、良い方ばかりで私は一生この地でこの合唱団と骨を埋める気持ちでした。それからは私はこの合唱団にヴォイストレーニングいわゆる発声練習を徹底させ、(一般の市民合唱団ではあまりしない)基礎から地道に行いました。みなさん愉しみで来られるのにつまらない練習と思われる方がいらっしゃると思いましたが、そこが長野県民の人柄の良さそして勤勉さでめきめきと上達していきました。
そして万年無賞合唱団が何回目かにトライしたコンクールで、私はあの学生時代に経験した、生涯2度目しかない不思議な現象に遭遇したのでした。課題曲が終わり自由曲が始まった時・・・・・・・気が付いた時私は礼をしていました。その時私の背筋に旋律(戦慄)が走り、有名な作曲家の言葉の<人はある芸術作品を渾身こめて創作している時に芸術の神ミューズがその人に宿りその作品を代わりに創作しすばらしい作品が生まれるのである>が走馬灯のように駆け巡ったのでした。このコンクールの結果は言うまでもありません、打ち上げ会後の団員の皆さんに胴上げされた感覚は一生忘れません。でもこのすばらしい方たちと別れるときは遅くはありませんでした。
ウイーン楽友協会の招待でウイーンに演奏に行っている時、実家の父が心筋梗塞でたおれ意識不明で緊急入院したのでした。そんな事は全く知らされず、ウイーンから実家に電話しても母は普通に振舞い、父から薄れる意識の中で口止めされていたのでした。帰国してからその事を告げられ、倒れた事を話すと私がウイーンに行かず、せっかくの機会を逃してしまうと思ったからでした。このような両親の心づかいに私は実家に帰る決心をしたのでした。10年以上過ごした小諸の地を離れる事、小諸ハーモニーの団員と別れる事、とても悲しく涙がとまりませんでした。
あれからもう20年経ちますが。2度とあのような現象は起きないでしょう。いまは趣味のラジコンを勤しむ、平凡な一児のおやじ、過ぎ去った過去はいまいずこ・・・・・・・・・・

ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」

ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」

  • アーティスト: フルトヴェングラー(ウィルヘルム), バイロイト祝祭管弦楽団, ベートーヴェン, ホップ(ハンス), エーデルマン(オットー), シュワルツコップ(エリザベート), ヘンゲン(エリザベート), バイロイト祝祭合唱団
  • 出版社/メーカー: 東芝EMI
  • 発売日: 2002/03/06
  • メディア: CD


ヘンデル:メサイア(全曲)

ヘンデル:メサイア(全曲)

  • アーティスト: アーノンクール(ニコラウス), ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス, シェーファー(クリスティーネ), ラーソン(アンナ), シャーデ(ミヒャエル), フィンレイ(ジェラルド), アルノルト・シェーンベルク合唱団, オルトナー(エルヴィン), ヘンデル
  • 出版社/メーカー: BMGファンハウス
  • 発売日: 2005/11/09
  • メディア: CD


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コメント 2

sugi

長野県各地で音楽活動、小諸では合唱団の指揮、そして賞を取ってウイーンに行きウイーンフィルと第九の合唱・・・すばらしい音楽の軌跡ですね。
 軽井沢、小諸、安曇野、上高地など長野各地は何度かドライブしており、先日も妻と長野はいいところだね、暖かくなったらまたドライブに行こうか、などと話ていたところです。
 ウイーンにも行きましたたが、オペラ座、ウイーンの森がすばらしく、ウイーンの森でワイン酒場のホイリゲに行ったことが懐かしく思い出されます。この旅行とかドライブは私のホームページ「なごやスギワールド」に詳しく書いています。
by sugi (2006-04-04 08:28) 

ep-ojin

そうですか。スギさんも、ウイーンに行かれましたか。私は一週間しか
滞在しませんでしたが、ホイリゲで浴びるほど飲んだワインの味、シウエーンブルグ宮殿での舞踏会、中世にタイムスピリットしたような雰囲気、本当に夢のような日々でした。定年すぎたらまたゆっくり行ってみたいです。ラジコンはもちろん続けますよ。
by ep-ojin (2006-04-06 21:29) 

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